第8回全国小学生硬式野球交流会 アンダーアーマーカップ

「純粋に投げたり打ったりが楽しかった」
第1回アンダーアーマーカップに出場した女子キャプテン 金子萌華さん

金子萌華さん、金子正好さん

2010年8月、全国で活動する小学生硬式野球リーグの代表が、リーグの垣根を越えて集まった。統一ルールのもとで頂点を目指す小学生の日本シリーズ「アンダーアーマーカップ」が、初めて開催されたのだ。第1回大会に大宮レッドソックスのキャプテン、投手として出場した金子萌華さん、現在も監督としてチームを率いる金子正好さんにお話をうかがった。
(取材:松元竜太郎)

―――野球を始めたきっかけを教えてください

萌華:兄がチームでプレーしていたのですが、運動不足解消のためにお母さんに連れられて、一緒に走ったりしたのがきっかけです。野球は後から少しずつ初めて、1年くらい経ってから正式に入団しました。

―――野球チームに女の子は少ないですが、抵抗はありませんでしたか?

萌華:最初は女子が一人しかいないので、嫌でした。けどチームメイトの男の子たちが仲間として接してくれたので、だんだん打ち解けて楽しくなりました。教室でじっとしていられないタイプで、学校でも男の子といることが多かったです。初めてスカートをはいたのは、中学校の制服かもしれません(笑)

―――野球のどんなところが楽しいと感じたのでしょうか?

萌華:最初はティーボールをしていたので、打てるのは当たり前なのですが、バットを振ってボールが飛んだだけでも感動しました。あとは試合に出てフライをキャッチできた時とか。ルールはあまり分かっていませんでした。お母さんに「野球は危ないからもう辞めたら」と何度か言われたのですが、泣きながら続けると言っていました。

―――監督さんとして、萌華さんはどんな印象でしたか?

金子:歴代のチームでも女子の選手は何人もいましたが、萌華については女の子と意識したことはあまりありません。最初は打つのが苦手だったのですが、ピッチャーとしてボールを投げる姿は、とても頼もしかったですね。

―――第1回アンダーアーマーカップについて、話をお聞きします。萌華さんは1回戦でいきなり打球が直撃して、負傷してしまいました。

萌華:びっくりしたのと痛いのと両方ありました。それまで打球が当たったことがなかったので。2回戦以降で投げられなかったのは悔しかったです。

―――1回戦は同点の末に抽選で勝利しましたが、クジはキャプテンの萌華さんが引いたのでしょうか?

萌華:選手全員が引いて、その中に当たりが一つ入っているという方式でした。実は当たりくじが透けて見えていて、アナウンサーの人が「開けてください」っていう前に、私たちは「勝ってる!勝ってる!」と喜び終わっちゃっていたのです(笑)。

―――2回戦で対戦したのが、この大会で優勝した世田谷リトルでした。

萌華:とても強かったということしか覚えていません。そういう強いチームと対戦できたことも、とてもいい経験になりました。

金子:たしか当時の世田谷は、負けなしで何十連勝もしていたチームです。体格差、バットの振りの鋭さなど、完全に力負けだなという印象でした。

―――最終的に4位で大会を終えましたが、全体を通してどのような印象でしたか?

萌華:ルールが違うので最初は戸惑った部分もありましたが、違うリーグのチームと試合をするのはとても楽しかったです。朝はみんなで散歩したり、いつも通り自然体で参加できていました。

金子:慣れるのに大変だなと思ったのですが、ルールは違っても野球少年、野球少女がボールを一生懸命追いかける姿勢は、団体が違ってもみんな同じなのです。あらためて野球って素晴らしいスポーツだと気づかせてもらえる大会でした。

―――アンダーアーマーカップのインタビューで「将来は女子プロ野球選手になりたい」と言っていましたが、いつ頃から考えていたのでしょうか?

萌華:ナックルボールを投げる吉田えり選手を見て、女子でもプロになれると知ってからですね。

―――その後も萌華さんは中学、高校とずっと野球を続けられて、現在は尚美学園大学で投手をしています。球速はどれくらいですか?

萌華:高校の最後に計った時で115キロくらいでした。今も大学で新谷監督(元西武ライオンズ投手)にいろいろ教えていただいています。

―――現在の目標を教えてください

萌華:チームしては全国大会での優勝ですが、個人としては日本代表のトライアウトに受かって、世界選手権でプレーしたいです。女子は世界大会を5連覇してるんですよ。

―――将来の夢を教えてください。

萌華:プロになりたくて、高校を卒業した時に一度プロテストを受けたのですが、落ちてしまいました。今はあまり考えていません。将来は小さい子にスポーツを教えたり、野球に関わったり、やりたいことがたくさんあります。大学生活を送る中で考えていきたいです。

―――大宮レッドソックスのチームメイトと会う機会はありますか?

萌華:当時はチームで2番目に大きかったので、たまに会うと「こんなに小さかったっけ?」とよく言われます。「いやいや、君たちが大きくなったんだよ」と返しますけど(笑)。体の大きさでは男子に抜かれてしまいましたが、野球ではまだまだ負けません。

―――監督さんは萌華さんに久しぶりに会っていかがでしたか?

金子:チームを卒団した子どもたちの中で、女子で大学まで続けているのは萌華が初めてです。今でも野球をがんばっている教え子を見て素直にうれしい気持ちでいっぱいですし、尊敬しています。どんな形であれ、これからも女子野球を盛り上げてもらえたらと思います。

金子萌華さん、金子正好さん

―――8月17日から第9回アンダーアーマーカップが福島県いわき市で開催されます。参加する子どもたちにメッセージをお願いします。

萌華:ルールなどで慣れないこともあると思いますが、失敗を恐れずに思い切ってプレーしてほしいです。アンダーアーマーカップはこれからの野球人生で貴重な経験になるはずです。がんばってください。